フェイト/ステイナイト
(C)タイプムーン
舞台は海と山に囲まれた都市・冬木市。
何の変哲もないこの街に、少しずつ侵食する闇があった。
手にした者の願いを叶えるという聖杯。
その聖杯を実現させる為、一つの儀式が行われようとしていた。
聖杯に選ばれた七人の魔術師(マスター)に、聖杯が選んだ七騎の使い魔(サーヴァント)を与える。
騎士 "セイバー"
槍兵 "ランサー"
弓兵 "アーチャー"
騎兵 "ライダー"
魔術師 "キャスター"
暗殺者 "アサシン"
狂戦士 "バーサーカー"
マスターはこの七つの役割(クラス)を被った使い魔一人と契約し、
自らが聖杯に相応しい事を証明しなければならない。
つまり。
マスターとなった者は他のマスターを消去して、自身こそ最強だと示さなければならないのだ。
杯を求める行いは、その全てが“聖杯戦争”と呼ばれる。
この地に起きる儀式は、その名に恥じない“殺し合い”といえるだろう。
幼い頃火災によって両親を失い、孤児になった主人公は魔術師を名乗る人物に引き取られる。
養父の反対をおしきって魔術を習う主人公だが、まったく才能がなく何年とかけて身についた魔術は一つだけだった。
その養父も今は亡く、主人公は半人前の魔術師として成長する。
そうして現在。
ふとしたきっかけからマスター同士の戦いに巻き込まれた主人公は、
偶発的に七人のサーヴァントの一人、セイバーと契約する事になる。
望まぬままマスターの一人になった主人公は、聖杯を巡る戦いに身を投じる事になるのだが────
| ー子供心に還る長い夢を見ていたようだ― |
古きよき時代のヴィジュアルノベルが限界を超える進化を成し遂げた.。
ゲームを終えて、まず第一に感じたのがそれだった。
終えてみれば、本当に面白かったというのが素直な感想であり、
時間を忘れてプレイできるほどのゲームに出逢えるということは、
一年に一度あるかないかの奇跡である。
私は事前にフェイトに関する情報をほとんどカットしていて、
プレイしている最中も人の感想や、乱舞界の掲示板での感想も全てシャットアウトしていた所為もあって、
純粋な素直な心でプレイできたと思う。
全体を通してみて、シナリオの本能を刺激させる面白さと、個性あるキャラクターの魅力、
漫画的親しみを感じる絵、そしてエフェクト演出によるヴィジュアルノベルの躍動感のこの四点が傑作に
つながった重要なパーツと見れる。
まずシナリオだが、大雑把にわけると、闘争本能を刺激される戦闘シーンと、個性あるキャラクターの魅力によって
彩られる日常シーン、そして聖杯戦争に関わる説明によって分類されている。
流れ的には、戦闘シーンで読み手の衝動をスイッチオンさせ、日常シーンでまったり一息で和み、
聖杯戦争の説明になると眠くなる、というのが私の流れだった。
戦闘シーンにおける描写は上手いとしか言いようがなく、読み手の闘争本能にスイッチが入れば、
否が応でも”人間として”興奮してしまう。それはまるで、格闘技を観戦するみたいに熱狂させられるものなのだ。
個性あるキャラクターの魅力というものは、戦闘シーンと日常シーンによって生まれてくるもので、
出てくるキャラクター一人一人の生き様、もとい、人生の軌跡を見ることによって、
各々に魅力をもたせることができ、読み手の自分が好きになれるキャラクターがでてくるのだ。
戦闘シーンが多い作品なので、女性キャラよりも、漢キャラに魅力を感じるのは当然、
今まで心の底に眠っていた、”子供心によるヒーローへの憧れ”を大人になった今の私に感じさせる事ができたのは、
私がプレイしてきたヴィジュアルノベル史上、はじめて遭遇した奇跡であった。
特に私は衛宮士郎という主人公に惹かれ、ヒーローとしての彼のオレイズムに憧れてしまった。
作中、これはありえないだろうという場面でもありえないヒーロー的な行動をして、
どこまで士郎はヒーロー的存在感を強めていくのだろうと、彼の成長にハラハラドキドキさせられた。
応援したくなるとかではなく、自分もそんなヒーローになりたいと思わせる、
大人になった今まで忘れていた”子供心によるヒーローへの憧れ”が、私のフェイトにおける全てだといってもそれは過言ではない。
と、ここまでは全く問答無用の良い所なのだが、説明パートの部分は話の構成する中で少し冗長さを感じずにはいられなかった。
眠くなるとはいっても、必要不可欠な説明はどうしても読んでおかないと理解できないし、
これにおける弱点というのは、同じような説明を何度も聞かされるということであり、
一つにまとめられるものが上手くまとめきれていないものが後々影響してくるからこういう結果を招いているのだと思う。
プレイスタイルをみかえしてみると、プレイの終わりが説明パートであり、プレイの始まりが説明パートだったのが、
それをいかにものがたっているのかがよくわかる。
以上がシナリオとキャラに対する私の感想なのだが、シナリオをよりいっそう面白くさせている、
迫力あるダイナミックな演出がフェイトにおける重要なスパイスになっているという事を忘れてはならない。
近年、私がゲームの批評をする時必ずといっていいほど演出に対する突っ込みは激しく、
演出がイマイチだと、例えシナリオ等がどれだけよくてもそれは決して超良作にはならなかった。
タイプムーンは同人から成り上がったできたてのメーカーだったので、前作の作りから見て、
進化することがあってもそれは考えられる範囲内のデキに収まるだろうと、
フェイトに穴があるとすればそこになると予想していたのだが、
全くの予想外の演出の素晴らしさに度肝をぬかれてしまうといった、返り討ちにあってしまうという無様な目にあってしまった。
シナリオと絵を最大限に活かすエフェクトビュー、画面から伝わる衝撃のエフェクト演出。
フェイトの真髄、エフェクト演出ここに極めり。
絵に関しては漫画力場が強く働いているので、本質的なものに関しては最早何も言うことはない。
言える事があるとすればそれは塗りが前作と比べ格段にクォリティが上がっているという点だが、
商業として出している以上、並程度としてうけとるのが無難なところだろう。
最後に音楽だが、私が散々日記で”もったいない”を連発しているので、それが答えである。
”音楽さえ…”。悪くはないが、音楽のクォリティが上レベルであれば、それはもうとんでもない作品になっており、
自信を持ってこれは傑作だ!と言えた事は間違いなかったであろう。
前作でも同じような事を思っており、タイプムーンの弱点があるとすればそれは音楽であるということが
今回もまた立証されてしまったのには、非常に残念ではある。
前作の月姫という偉大な作品からかれこれ三年、
あの伝説を越えうる作品がまた作ることができるんだろうかと
多少心配していたが、フェイトという作品は結果的には満足できた。
満足できたことを裏付ける決定的な要因、それは
面白おかしなタイガー道場であり、ユーザーとクリエイターの、
”俺達、楽しんでいるだろ?”という不思議なリンクである。
伝わってくるものもあれば、伝えるものがある。
そう。私達は楽しんでいたのだ。作る事も。プレイする事も。
最後にいつもの言葉で締めくくらせてもらいたい。
楽しんだ者勝ちなのだと。
シナリオ 94点 システム92点 音楽68点 燃え100点 CG82点 演出98点 声優ー点 エロ64点 英雄100点
総合96点 おすすめキャラ 衛宮士郎 アーチャー アサシン(巌流島)
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